塗料の大まかな分類
環境や臭いの問題で水性塗料を使用する場合が増えているのが現状ですが、下地との相性や耐候性を考えて選択する必要があります。
水性塗料
水で希釈する塗料
臭いも少ないのが特徴。乾燥中に湿気が多くあると、耐候性不足になる。低温時は性能を発揮しない場合がある。密着性の悪い種類もあるので、シーラーの選定が大切。塗装物が少し濡れていても塗れるという人もいますが、十分乾燥させてから塗らないと剥がれの原因になる。
弱溶剤塗料
塗料用シンナーで希釈する塗料
水性塗料に比べれば臭いはあるが、密着性がよくプラスチックやアルミなどにも塗れる塗料もある。強溶剤塗料より乾燥時間が遅いので、刷毛やローラーでの塗装方法が多い。水性塗料に比べ耐薬品性、耐アルカリ性が高い。
強溶剤塗料
ラッカーシンナーなどで希釈する塗料
乾燥時間が早いので吹付け塗装に多く使用される。強烈な臭いがあるため、塗り替えにはほとんど使用しない。特種な用途だけに使用される。
下塗り塗料
シーラーやフィーラーの選定を間違えたり使用しないと剥がれや色むらの原因になるので注意が必要です。
シーラー
下地への密着性の向上、吸い込みを均一にするための下塗り材。
水性から強溶剤まで種類があり、タバコのヤニをおさえる物もある。
浸透形シーラー
下地の中に浸透して密着性の向上、吸い込みを均一にする。コロニアル屋根の下塗りに使用する場合が多い。
フィーラー
下地のす穴や細かいひび割れを埋めて、平滑にする下塗り材。
微弾性フィーラー
普通のフィーラーに弾性機能を持たせた下塗り材。
名前のとおり微弾性なので細かいひび割れには有効だが、大きく動くひび割れには追従しない。
新規のモルタルなどには密着性が悪いので、どちらかというと塗り替え用。
さび止め塗料
一般さび止め
条件の過酷でない場所に使用。乾燥が遅い。安い塗料。
鉛丹さび止め
下地の中に浸透して密着性の向上、吸い込みを均一にする。コロニアル屋根の下塗りに使用する場合が多い。
エポキシ樹系さび止め
密着性が良く、塗り替え適応範囲が広いため現在の主流になっている。比較的乾燥が速い。
仕上材
薄付け仕上塗材(リシン)
対候年数
4~6年
砂状のものを吹き付けるつやの無い塗料。耐久性はあまり無いが作業性が良く価格が安いため新築の外壁などで多く使用されている仕上材。弾性の機能を備えた「弾性リシン」もある。
厚付け仕上塗材(スタッコ)
対候年数
8~10年
デコボコで重厚な仕上げをする仕上材。厚塗りのため、防水性は良いが凸凹が大きい仕上げが多いので汚れが付きやすい。
複層仕上塗材(吹付けタイル)
対候年数
7~15年
下塗り、主材塗り、上塗りの3層からなる仕上材。主材にもアクリル、弾性、エポキシなどの種類があり、仕上材もアクリル、ウレタン、アクリルシリコン、フッ素などがあり、仕上材の種類によって耐候性が変わる。リシンの次に多く使われる仕上材。
石材調仕上塗材
対候年数
8~10年
天然石に似せた仕上げ塗り材。大理石風や御影石風に見せる工法で、作業工程が多い上、高度な技術が必要。
汚れ防止のために、最後にクリアー塗装(透明)で仕上るのが主流。
上塗り(仕上げ)塗料
さまざまな樹脂により耐候性が変わってきます。アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂は水性・弱溶剤・強溶剤の製品があります。注意して欲しいのは建物に木部や鉄部がある場合に塗り替えでフッ素樹脂を使用しても15年の耐久性はありませんので、建物に合った塗料を選択する必要があります。
合成樹脂調合ペイント
対候年数
2〜4年
築の鉄骨やトタン、木部に多く使われてきた塗料。乾燥が遅く、耐候性も悪い。塗料シンナーなどで希釈。塗り替えではほとんど使用しない。安い塗料。
合成樹脂エマルションペイント
対候年数
3〜5年
水性塗料の一種で建築塗装で非常に多く使用される。抗菌塗料などの特殊な製品もある。
アクリル樹脂
対候年数
5~6年
作業性が良く安価なため幅広く使用される塗料。新築の複層仕上塗材でリシンに次いで多く使用されている。
ウレタン樹脂
対候年数
7~8年
ウレタン樹脂は密着力も良く、アクリル樹脂より耐水性、耐久性が良く価格もわりと安価なのでとてもバランスの取れた塗料。
アクリルシリコン樹脂
対候年数
9~11年
光沢を保持するレベルが高いため、ウレタンよりも高い耐久性をもつ。耐候性はフッ素樹脂に近いのに価格はウレタン樹脂とフッ素の中間のため、現在塗り替えで最も多く使用されている。
フッ素樹脂
対候年数
13~15年
現在の建築用塗料のなかで最高の樹脂。耐紫外線、耐水性などに優れ、光沢を保持するレベルもアクリルシリコン樹脂よりも高い。価格が高いのが欠点ではあるが、塗り替えの回数が減るためメンテナンスサイクルからみて金額の低減できる場合もある。
スーパーセラン(無機塗料)
水性変性無機塗料
対候年数
15〜18年
高耐久
変性無機塗料の持つ最大の特長を生かし、フッ素樹脂塗料と同等の耐候性が建物の美観を長期にわたり維持し、保護できます。
伸縮性
柔軟性に優れた塗膜によりシーリング上に施工した場合のひび割れリスクを軽減できます。
汚れにくい
親水性の高い無機の塗膜が汚れを防ぎ、雨水で汚れを落とす特性を持ちます。
膨れにくい
雨は通さず、水蒸気は逃すことができるため、各種上塗材の中では最高クラスの透湿性を発揮します。
カビが生えにくい
防カビ・防藻性があり、カビや藻の発生を抑えることができます。
いろんな下地に使える
各種下地調整材を使用することで、窯業系サイディング、ALC、モルタルなどに塗装できます。